理事長挨拶
保護司は、社会奉仕の精神をもって、罪を犯した人や非行のある少年たちの円滑な社会復帰を助けるとともに、犯罪や非行の予防を図り、個人や公共の福祉に寄与することを使命としています。現在、全国で約4万7000人の保護司が、それぞれの地域において、犯罪や非行のない明るい地域社会づくりの活動に取り組んでいます。
近年、刑法犯の認知件数は毎年戦後最少を更新し続けてきましたが、令和4年には前年を上回るなど予断を許さない状況にある上、検挙される人の半数近くを再犯者が占める状況が続いています。経済格差の拡大や望まない孤独や孤立などの問題により、人々が抱える「生きづらさ」は深刻の度を増していると言われており、罪を犯した人たちの更生には依然として多くの困難があります。
更生は、障害を負った人のリハビリに似ています。リハビリも罪を犯した人の更生も「もう一度頑張ってみよう」という気持ちがなければうまくいきません。そして、その気持ちに寄り添い、支えてくれる人がいるからこそ、社会に復帰することができます。それは、私自身が自転車事故により入院し、今も家族や医療・介護関係者など多くの人に支えられてリハビリを続けながら、日々実感していることでもあります。
保護司は、人は変われるという信念の下、同じ地域に住む隣人の一人として立ち直りを支援するとともに、広報啓発活動や犯罪予防活動に積極的に取り組むことにより、自分たちの住む地域が少しでも住みやすく安全安心なものになることを願い、そのことにやり甲斐を感じながら活動しています。
罪を犯した人たちの立ち直りと犯罪・非行の防止は、こうした思いで活動する保護司の存在ばかりではなく、地域に住む多くの方々の御理解と御協力がなくては実現できません。新たな加害者も犯罪被害者も生まない誰もが安心して暮らせる社会を実現するため、皆様の一層の御理解と御協力をお願いいたします。
更生保護法人全国保護司連盟理事長
谷垣 禎一
全国保護司連盟について
全国保護司連盟は、罪を犯した人や非行のある少年の改善更生や犯罪予防に取り組んでいる保護司や保護司の組織に対して連絡、調整、助成等を行い、その活動の充実を図ることを主な事業とする団体です。
全国保護司連盟は、保護司法が公布・施行された昭和25年に結成されました。昭和45年6月に社団法人となりましたが、平成23年12月に更生保護事業法に基づいて法務大臣の認可を受けて更生保護法人へと組織変更し、現在に至っています。
全国保護司連盟の主な事業は、次のとおりです。
- 保護司活動に対する連絡・調整・助成
- 更生保護に関する民間協力組織や更生保護事業者に対する連絡・調整・助成
- 更生保護思想の普及、犯罪予防を図るための世論の啓発等
- 保護司等に対する研修・顕彰・福利厚生
- 更生保護に関する調査研究
所在地 |
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-10-9 更生保護会館 TEL:03-3356-5724 FAX:03-3356-7610 |
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