更生保護事業は、刑務所から釈放され再出発を目指す人たちを受け入れ、その社会復帰を援助する「更生保護施設」と、これらの人たちの更生を地域全体で支えるためのネットワークの拠点となる「更生保護協会等」の両輪で営まれています。
更生保護施設は、明治21年に民間人が始めた慈善事業をルーツとし、現在では、一時的な居場所の提供に止まらず、生活や就労等の相談に応じ、自立に向けた様々な専門的な指導や援助を行うほか、退所した後もつながりを保ち、社会的に孤立して再犯に陥るのを未然に防ぐ取組も行っています。このように犯罪をした者の社会復帰のための民間専門施設として、ますます大きな役割を果たす一方で、経営基盤が弱く必要な職員の確保もままならない施設や、近年の長引くコロナ禍の影響で厳しい運営を迫られている施設も少なくありません。
他方、更生保護協会等は、これまで更生保護施設や保護司を始め民間の更生保護活動に対する助成や国民に対する広報啓発などを通して、更生保護活動を物心両面から支えてきました。その実績を踏まえ、最近の法改正では、息の長い更生支援を地域で支える更生保護ネットワークの拠点としての役割を一層強化することが期待されるに至っております。
このような更生保護施設や更生保護協会等の地道な営みが、犯罪や非行をした人たちの自立更生と社会復帰を助け、再犯や非行を防いで新たな被害者を生まないことにより、安全・安心で、誰一人取り残さない社会づくりに寄与するものであることをご理解いただき、多くの方々のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
全国更生保護法人連盟
理事長 今福 章二