入所者が抱える問題は、発達段階や生育環境によって大きく異なってきます。
中には、立ち直りたいという意思はあっても、人とのコミュニケーションが苦手である、お酒や薬物がどうしても止められないといった問題から、同じ過ちを繰り返してしまう人もいます。
そうした問題性に対応するため、更生保護施設では、地域の医療・福祉・教育機関などと連携して、以下のような専門的な学習・教育プログラムの導入を始めました。
なお、このような専門的プログラムは、更生保護施設の入所者以外にも実施しています。
ロールプレイで
挨拶の練習を行う場面
人の印象の7割は、声の調子・姿勢といった非言語的な側面で決定されるといわれています。
そのため、ちょっとした仕草が相手に悪い印象を与えていても、自分では気付きにくく、また、それを言葉でどうしろと言われてもなかなかイメージの湧きにくいものです。
SSTとは、Social Skills Training(生活技能訓練)の略で、実際に模擬練習を行いながら、この場面ではどういう行動すればよいのかを教えていく方法です。実際に自分が体験してみるので、自分の問題点に対する気づきを促し、学習効果を促進するといわれています。
飲酒や違法薬物の使用による心身への影響について講義を受ける場面
誰しも、酒に酔った勢いでトラブルを起こした、違法性のある薬物を使用したというニュースを耳にしたことがあると思います。
「意志が弱いからそんなことをしてしまうんだ。」と思う人もいるかもしれませんが、実は、アルコールや薬物は、意志や人間性に関係なく、誰の脳にも快感をもたらし、しかも、一度乱用すると「止めたくても止められない」という依存性を持った化学物質なのです。
回復に至るには、長く険しい道を歩まねばなりません。
時として、医療や福祉の援助を受けることが必要となります。
また、中には、「お酒や薬物だけが自分の味方であった」と孤独感を口にする人、「自分で調節できるから大丈夫」と否認して、同じ過ちを繰り返してしまう人も少なくありません。
そこで、客観的に自分の症状を見つめさせ、回復への第一歩を踏み出せるよう動機づけを行う教育プログラムを全国的に展開されています。
特に、薬物処遇重点実施更生保護施設では、精神保健福祉士などによる専門的な処遇を行っています。